▼Colombia La Cumbre Anaerobic Washed
アンデス最南部、極端な標高が生み出すナリーニョの透明感。
Anaerobic Fermentationによって、その果実感をさらに立体的に。
コロンビア南西端、エクアドル国境に接するNariño(ナリーニョ)。アンデスの険しい山岳地帯と火山性土壌、そして赤道に近い強い日射と高標高特有の冷涼な気候が交差する、コロンビアを代表するスペシャルティコーヒー産地です。
“La Cumbre”はスペイン語で「頂」「山頂」を意味する言葉。高地で育った緻密なコーヒーチェリーに、酸素を制限した環境での発酵を組み合わせ、最後はミューシレージを洗い流して仕上げるAnaerobic Washed。ナチュラル系の発酵プロセスとは異なり、発酵由来の華やかさや果実感を持たせながら、Washedらしい輪郭とクリーンさを残せることが、このプロセスの大きな魅力です。
浅煎りで発酵由来のアロマや明るい酸を引き出すのはもちろん、焙煎を少し進めることで甘さと質感を組み立てることもできる、ロースターの表現力が試されるスペシャルティロットです。
▼Finca La Cumbre — Family & Farm
Finca La Cumbreを営むのは、Bibiana Ines Mena Criolloと夫のDiego López。二人は2010年から、このナリーニョ県エル・タンボの山岳地帯でコーヒー生産に取り組んでいます。
Diegoは農学を専門とするAgronomist。コーヒーとの関わりは家族の中から始まり、幼い頃から叔母を通じて栽培について学びました。その後、コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)での仕事を通じ、栽培から生産管理まで専門的な知識を深めていきます。
現在のLa Cumbreは、もともと独立していた5つの小さな農地から構成されています。
農園は標高約1,750mから2,100mという急峻な斜面に広がり、最低部と最高部では約400mもの標高差があります。
この標高差はチェリーの成熟にもはっきりと現れます。低い区画で収穫が始まってから、最も高い区画が完熟するまでには約1か月。ひとつの農園の中でも、標高と成熟度を見ながら収穫を進めていく必要があります。
急斜面は品質を生み出す一方、農作業には大きな負担をもたらします。そこで2017年、La Cumbreでは農園内にケーブルカーを設置。収穫されたチェリーを精製施設へ運ぶだけでなく、収穫チームへ食事を届けるためにも利用されています。
▼ダブルアエロビックファーメンテーション(DOUBLE ANAEROBIC FERMENTATION)
〇1st Fermentation — Whole Cherry / Poly Tank
選別した完熟チェリーを、果皮・果肉を残したままポリタンクへ投入し、密閉状態で第1次嫌気発酵を行います。
この第1次発酵は比較的短時間で行われます。
チェリーの状態では、果肉や果汁に含まれる糖分が豊富に存在するため、タンク内では微生物活動が活発になり、発酵が比較的速く進行すします。
そのためLa Cumbreでは、1次発酵を必要以上に長く引き延ばすのではなく、チェリー全体から十分な発酵作用を得た段階で次の工程へ移します。
このステージでは、果皮・果肉・果汁を含むチェリー全体が発酵に関与し、後のカップに現れる果実感や発酵由来の複雑さのベースを形成します。
1次発酵終了後、チェリーをタンクから取り出して脱果肉し、パーチメント表面のミューシレージを残した状態で第2次発酵へ進みます。
〇2nd Fermentation — Mucilage-on Parchment / Stainless Steel Tank
脱果肉後、ミューシレージを残したパーチメントコーヒーをステンレスタンクへ移し、再び密閉して第2次嫌気発酵を行います。
ここがLa CumbreのDouble Anaerobic Fermentationの重要なポイントです。
第1次発酵ではチェリー全体を発酵させていましたが、第2次発酵では果皮・果肉を取り除き、パーチメント表面に残ったミューシレージを主な発酵基質として発酵を続けます。
つまり、同じコーヒーを単純に長時間発酵させるのではなく、1次発酵:Whole Cherry
2次発酵:Mucilage-on Parchmentと、コーヒーの状態を変えながら二段階で発酵させるプロセスです。
第1次発酵ではチェリー全体の果汁や糖分が発酵に関与し、第2次発酵ではパーチメント表面に残ったミューシレージを中心に発酵が進行します。
この二つの異なる発酵環境を重ねることで、発酵由来の香りや果実感、甘さ、質感に複雑さを与えながら、最終的にはWashed Processとしてクリーンに仕上げていきます。
〇Washing
第2次嫌気発酵終了後、パーチメント表面に残ったミューシレージを水で洗い流します。
その後、パーチメントコーヒーを適切な水分値まで乾燥させます。
最終工程でミューシレージを除去するため、二段階の嫌気発酵による複雑な香味を持ちながらも、Washed Coffeeらしい透明感と明瞭な輪郭を残すことができます。
▼NARIÑO — 赤道直下と2,000m級の山岳地帯
ナリーニョ県はコロンビア南西部に位置し、西側を太平洋、南側をエクアドルに接しています。アンデス山脈が複雑に連なる「Nudo de los Pastos」と呼ばれる山岳地帯を有し、深い谷と急斜面、火山群が入り組む非常に変化の大きな地形が特徴です。(コロンビア政府が保護するCafé de Nariñoの原産地呼称(D.O.)の対象地域は標高1,300〜2,300m。)
赤道に近いため年間を通して日射を確保しやすい一方、コーヒー農園はアンデスの高地に位置するため気温は低く、チェリーは比較的ゆっくり成熟します。さらに地域には火山由来の土壌が広がり、有機物に富む土壌、高標高、低温という条件がナリーニョの品質形成に大きく関係しています