レモネード、ライムのような華やかな香り、印象的な爽やかなエチオピアのウォッシュトをお求めの方にお勧め。
初代カップオブエクセレンス 1位ニグセ・ゲメダ氏の手がけるコーヒーをリリースします。ニグセ氏へのインタビューでは、農薬や化学肥料の使用は許可しておらず、すべて自然のものを使用しています。
エチオピアの首都アディスアベバから南に約266km、グジの地域の中でベンサの中の最大の街のDayeから約10kmにShantawena Village(シャンタウェナ村)があります。平均約200年といわれる樹齢の原生林に囲まれており、この深い原生林を天然のシェードツリーとして、コーヒーが栽培されています。時代錯誤な無差別な森林伐採とその跡地での大規模コーヒー栽培といった手法とは無縁であり、この原生林との共生により、豊かな土壌が育まれ、その土壌により豊かな収穫が生み出されること現地のコーヒー農家は体感しています。
この多様な生態系を育む原生林にはエチオピアの政府も注目しており、農業省からも専門家が派遣され、エチオピアの自然と密接なかかわりがあるコーヒー産業の、持続可能な発展と共生のサポートがなされています。このエリアで精製されるコーヒーは、科学的農薬を使うコーヒー産業とは無縁であり、有機JAS、UTZ、Rain Forest Alliance等あらゆる世界的認証の取得に日々邁進しています。
◆アナエロビックウォッシュト工程
1. 準備とパルピング(果肉除去)
まず、比重選別(フローター除去)を経た完熟チェリーの果肉をパルパーで剥きます。
ポイント: アナエロビック・ウォッシュトでは、種子の周りにミューシレッジ(粘液質)がしっかり残っていることが重要です。これが微生物の餌となり、複雑な酸味とフレーバーを生み出します。
2. 密閉プラスチックタンクへの充填
洗浄したプラスチックタンク(食品グレード)に、パルピング直後の豆を投入します。
充填率: タンクの容積に対して80〜90%程度まで豆を詰め、上部の空気(酸素)を最小限に抑えます。
完全密封: 蓋のパッキンが正常であることを確認し、外気が一切入らないようクランプ等で厳重に密閉します。
3. ワンウェイバルブによる環境制御
ここがこの工程の心臓部です。
ガス排出と酸素遮断: 発酵が始まると、微生物の活動によって二酸化炭素CO2が急速に発生します。ワンウェイバルブは、内部の圧力を外に逃がしつつ、外気(酸素)の流入を完全にブロックします。
嫌気状態の維持: タンク内がCO2で満たされることで、好気性菌の活動が抑制され、乳酸菌などの嫌気性微生物が優位な環境(アナエロビック環境)が完成します。
4. 48時間の定温発酵
48時間という時間は、エチオピアの標高(気温)において、クリーンさを保ちつつ適度な「熟成感」を引き出すのに最適な時間設定です。
温度管理: タンク内の温度が上がりすぎると「腐敗」に近い発酵臭が出るため、日陰や水槽内など、なるべく15℃〜20℃前後の一定温度に保つのが理想的です。
5. 洗浄(ウォッシュト工程)
48時間が経過したら、速やかにタンクを開放します。
ミューシレッジの除去: 発酵によって分解しやすくなったミューシレッジを、大量のきれいな水で洗い流します。
クリーンカップの形成: この洗浄により、アナエロビック特有の「クセ」が適度に削ぎ落とされ、エチオピア本来の透明感のある酸質が顔を出します。
6. スロードライイング(乾燥)
洗浄後のパーチメントをアフリカンベッドに広げます。
期間: 約10〜14日間。
管理: 最初は薄く広げて表面の水分を飛ばし、その後は徐々に厚みを持たせてゆっくり乾燥させることで、発酵で得た複雑なフレーバーを豆の内部に定着させます。
■ 48時間アナエロビック発酵プロセスの推移と変化
【0 - 12時間:発酵初期(導入期)】
・内部状況:タンク内の残存酸素が微生物によって消費され、二酸化炭素(CO2)濃度が急速に上昇。ワンウェイバルブから最初のガスが排出され始める。微生物がミューシレッジに含まれる糖分の分解を開始し、発酵のためのエネルギー生成が行われる。
【12 - 36時間:発酵ピーク(最盛期)】
・内部状況:タンク内が完全に二酸化炭素で満たされた「嫌気性状態」となる。微生物の代謝活動により、液体(果汁)のpH値が徐々に低下。
乳酸菌などの嫌気性微生物が活発化。乳酸やエステル化合物が生成され、コーヒー豆に独特のコンプレックスな酸味とフレーバーが定着する。
【36 - 48時間:熟成・仕上げ(最終期)】
・内部状況:糖分消費が進み、発酵速度が緩やかになる。フレーバーの濃度とマウスフィール(口当たり)の質感がピークに達する。
・期待される変化:過発酵(酢酸発酵や不快な腐敗臭)に転じる直前の、最も芳醇でジューシーな特性が完成する。48時間を目安に速やかに開放し、洗浄工程へ移る。
◆ニグセ・ゲメダ氏インタビュー
問い)御社のコーヒーの力強いフレーバーと上品な酸味、クリーンさに感銘を受けました。他の農園のコーヒーでは、このような風味を得ることは難しいと思います。
なぜこのような風味を得ることができたのですか?
答え)主な理由は、農園位置する場所の気温が適度に低く、レッドチェリーの成熟期間が他地域と比べて長いこと、天候に恵まれ、病気や害虫の発生が少なく、十分な降雨量があり、ミネラルが豊富な土壌であることです。
それに加えて、私は環境に配慮した農業を実践しており、農薬や化学薬品の使用を避けています。私の農場で使用するものはすべて自然なものです。
【ストーリー】
ニグセ・ゲメダ氏がコーヒービジネスを始めたのは27年近く前のことです。農家の息子として、また小さいころから農場で働いて育った彼にとって、コーヒービジネスに身を置くことは難しいことではありませんでした。ニグセがコーヒーの栽培を始めたのは16歳の少年でした。当時、ニグセは両親から受け継いだ土地から大量のコーヒーを集めていました。しかし、その農園はとても田舎にあり、農産物を運ぶのは困難極まる場所でした。そのため、収穫したコーヒーを地元の市場に供給する手段がありませんでした。
このジレンマに直面した彼は、ロバやラバにコーヒーを積み、長距離を歩いて、地元のさまざまな市場に自慢のコーヒーを売りに行きました。そうして彼は10年間地道に働き、経済が成長するにつれて自身の農園を拡大しました。さらにその地域の小規模コーヒー農家からウェットコーヒーを購入し、その地域に出現したコーヒー輸出業者や国の中央コーヒー市場に供給し続けるようになりました。
ただし、当時のエチオピアのコーヒー輸出業者は、コーヒー豆の販売価格が非常に低いため、コーヒー豆の販売はあまり経済的ではありませんでした。というのも、エチオピア商品取引所(ECX)が販売システムを掌握しており、農家はその恩恵を受けていなかったからです。2020年、ニグセ氏にひとつのチャンスが訪れました。
エチオピア・カップ・オブ・エクセレンス コーヒー・コンペティション(以降COE)。このコンペティションには1,400以上のコーヒー生産者が参加しましたたが、そのうちの1つがカラモ・ケベレのニグセ・コーヒー農園からのものでした。
COEでは、コンペティションに参加するだけなら参加費は一切かからないため、何百もの農園が審査員にコーヒーを提出する機会を得ましたが、87点以上を獲得した上位30名のみが国際的な勝者となり、そのコーヒーはオークションにかけられます。
このコンペティションで、ニグセのコーヒーは91.04点(エチオピアのCOEコンペティション史上最高得点)で優勝し、1kgあたり408ドルの価格でオークションにかけられました。このコンペティションの後、ニグセは海外から多くの潜在的なコーヒーバイヤーを紹介される機会を得て、地元のコーヒー加工会社へのコーヒー供給業者から国際市場への輸出業者へと変貌を遂げました。