初代カップオブエクセレンス 1位ニグセ・ゲメダ氏の手がけるコーヒーをリリースします。ニグセ氏へのインタビューでは、農薬や化学肥料の使用は許可しておらず、すべて自然のものを使用しています。
問い)御社のコーヒーの力強いフレーバーと上品な酸味、クリーンさに感銘を受けました。他の農園のコーヒーでは、このような風味を得ることは難しいと思います。
なぜこのような風味を得ることができたのですか?
答え)主な理由は、農園位置する場所の気温が適度に低く、レッドチェリーの成熟期間が他地域と比べて長いこと、天候に恵まれ、病気や害虫の発生が少なく、十分な降雨量があり、ミネラルが豊富な土壌であることです。
それに加えて、私は環境に配慮した農業を実践しており、農薬や化学薬品の使用を避けています。私の農場で使用するものはすべて自然なものです。
グレープ&パッションフルーツ,レモングラス,アールグレイ,オレンジピールなど複雑な香りと、良いボディ心地よい酸質と上質さを感じる甘みでフィニッシュ。(プレシップメントサンプル参考評点SCA87点)
エチオピアの首都アディスアベバから南に約266km、グジの地域の中でベンサの中の最大の街のDayeから約10kmにShantawena Village(シャンタウェナ村)があります。平均約200年といわれる樹齢の原生林に囲まれており、この深い原生林を天然のシェードツリーとして、コーヒーが栽培されています。時代錯誤な無差別な森林伐採とその跡地での大規模コーヒー栽培といった手法とは無縁であり、この原生林との共生により、豊かな土壌が育まれ、その土壌により豊かな収穫が生み出されること現地のコーヒー農家は体感しています。
この多様な生態系を育む原生林にはエチオピアの政府も注目しており、農業省からも専門家が派遣され、エチオピアの自然と密接なかかわりがあるコーヒー産業の、持続可能な発展と共生のサポートがなされています。このエリアで精製されるコーヒーは、科学的農薬を使うコーヒー産業とは無縁であり、有機JAS、UTZ、Rain Forest Alliance等あらゆる世界的認証の取得に日々邁進しています。
【ストーリー】
ニグセ・ゲメダ氏がコーヒービジネスを始めたのは27年近く前のことです。農家の息子として、また小さいころから農場で働いて育った彼にとって、コーヒービジネスに身を置くことは難しいことではありませんでした。ニグセがコーヒーの栽培を始めたのは16歳の少年でした。当時、ニグセは両親から受け継いだ土地から大量のコーヒーを集めていました。しかし、その農園はとても田舎にあり、農産物を運ぶのは困難極まる場所でした。そのため、収穫したコーヒーを地元の市場に供給する手段がありませんでした。
このジレンマに直面した彼は、ロバやラバにコーヒーを積み、長距離を歩いて、地元のさまざまな市場に自慢のコーヒーを売りに行きました。そうして彼は10年間地道に働き、経済が成長するにつれて自身の農園を拡大しました。さらにその地域の小規模コーヒー農家からウェットコーヒーを購入し、その地域に出現したコーヒー輸出業者や国の中央コーヒー市場に供給し続けるようになりました。
ただし、当時のエチオピアのコーヒー輸出業者は、コーヒー豆の販売価格が非常に低いため、コーヒー豆の販売はあまり経済的ではありませんでした。というのも、エチオピア商品取引所(ECX)が販売システムを掌握しており、農家はその恩恵を受けていなかったからです。2020年、ニグセ氏にひとつのチャンスが訪れました。
エチオピア・カップ・オブ・エクセレンス コーヒー・コンペティション(以降COE)。このコンペティションには1,400以上のコーヒー生産者が参加しましたたが、そのうちの1つがカラモ・ケベレのニグセ・コーヒー農園からのものでした。
COEでは、コンペティションに参加するだけなら参加費は一切かからないため、何百もの農園が審査員にコーヒーを提出する機会を得ましたが、87点以上を獲得した上位30名のみが国際的な勝者となり、そのコーヒーはオークションにかけられます。
このコンペティションで、ニグセのコーヒーは91.04点(エチオピアのCOEコンペティション史上最高得点)で優勝し、1kgあたり408ドルの価格でオークションにかけられました。このコンペティションの後、ニグセは海外から多くの潜在的なコーヒーバイヤーを紹介される機会を得て、地元のコーヒー加工会社へのコーヒー供給業者から国際市場への輸出業者へと変貌を遂げました。